この記事の結論

マネされたと感じたら、商品名、形、文章・写真、仕組みのどこが似ているのかを分けて考えましょう。相手の販売ページを保存し、自社の登録内容や制作・販売の経緯と照らし合わせると、対応の根拠を探りやすくなります。どの権利が関係するか分からない段階でも、ご相談いただけます。

似ている対象ごとに、関係する権利を調べる

商品名が似ている場合と、写真が使われている場合では、対応の根拠となる権利が異なります。まずは、気になる部分を次の表に当てはめてみてください。

似ている対象・関係する権利・残す記録の一覧
似ている対象関わり得る権利・法律確認すること残す証拠・資料
商品名・ブランド名・ロゴ 商標権、不正競争防止法 登録内容、対象商品・サービス、相手の使用方法、表示の周知・著名性 相手の販売ページ、商品・包装の写真、自社の登録資料・使用実績
商品の形・パッケージ 意匠権、不正競争防止法の商品形態模倣 登録意匠との関係、形態の一致と模倣の経緯、日本国内で最初に販売した時期 双方の商品写真、自社の設計・開発資料、販売開始を示す記録
文章・写真・イラスト 著作権 具体的な表現の共通点、自社の権利、相手が元の作品に接した可能性、利用許諾の有無 原稿・元画像、制作履歴、公開記録、権利に関する契約、相手ページ
技術的な仕組み 特許権など 有効な権利の有無、請求項の範囲と相手の技術との関係 特許公報、相手商品の仕様・説明資料
社内のノウハウ・顧客情報 不正競争防止法の営業秘密、契約上の義務 秘密としての管理状況、情報の有用性・非公知性、取得・使用・開示の経緯 秘密保持契約、管理記録、アクセス・送付履歴

全体の印象が似ている場合は、名前、形、文章・写真、仕組みを別々に見比べます。共通する部分を挙げると、調べる権利や記録を絞りやすくなります。

一つの商品に複数の権利が関係することもあります。例えば、商品の形を意匠権で、商品名を商標権で、掲載写真を著作権で保護できる場合があります。それぞれについて、登録や創作の経緯、相手の利用方法を調べます。

文章・写真・デザインと著作権の関係

著作権の侵害を判断する際には、創作的な表現の共通点(類似性)と、相手が元の作品に接し、それをもとにしたか(依拠性)が問われます。元の原稿や画像、制作・公開の記録をたどり、相手の表現と見比べます。

外注した写真や文章の場合は、契約書から自社が取得した権利や利用できる範囲を読み取ります。相手への利用許諾の有無や、引用など法律上認められる利用に当たるかも判断に関わります。

商品のデザインについては、著作物として保護される創作的な表現があるかが問題になります。工業製品のデザインがすべて著作権で守られるわけではなく、意匠権による保護もあわせて調べます。

参考:文化庁「著作権侵害の要件:類似性と依拠性」(資料32頁)

商品形態の模倣では、国内で最初に販売した日が基準になる

不正競争防止法の商品形態模倣の規定では、日本国内で最初に販売された日から3年を経過した商品が、保護の対象から除かれます(第2条第1項第3号、第19条第1項第6号イ)。この3年は、模倣を発見してから訴えるまでの一律の期限ではありません。意匠権や著作権、周知・著名な表示に関する規定など、別の根拠による保護の可能性もあります。

商品形態模倣では、他人の商品の形態をもとに、実質的に同一の形態の商品を作り出したかが問われます。商品の機能を確保するために不可欠な形態は対象から除かれます。販売開始を示す記録に加え、開発・展示の経緯や相手の販売時期をたどることが、こうした条件を調べる手がかりになります。

参考:不正競争防止法第2条第1項第3号・第5項、第19条第1項第6号イ、経済産業省「不正競争防止法の概要」適用除外(資料52頁)

意匠権を活用した対応の例は、貝印の模倣品対策で紹介しています。同社は意匠権を使い、税関での模倣品の差止めにも取り組んでいます。

似ている部分と、保護される範囲を照らし合わせる

似ている点を挙げたら、その部分をどの権利で保護できるかを調べます。登録証や公報、契約書などから権利の内容を読み取り、相手の商品や使い方と照らし合わせることで、侵害に当たるかを判断するための材料が得られます。

例えば、仕組みが似ていると感じても、特許権の判断では請求項に記載された範囲が基準になります。文章や写真の場合は、創作的な表現と利用の経緯が問題になります。自社が先に作ったという事実に加えて、具体的な保護の根拠を確かめることが必要です。調査に使う記録の残し方は、下の手順をご覧ください。

ECで似た商品を見つけたら

架空の設例:自社の収納ケースに似た商品を、ECサイトで見つけました。形状に加え、商品名と掲載写真も自社のものとよく似ています。まず下の手順1に沿って販売ページを保存し、商品の形、商品名、掲載写真を分けて見比べます。

形については、自社の登録意匠の図面と相手の商品を比較します。商品形態模倣の規定を使う場合は、国内で最初に販売した日や、相手が自社商品の形態をもとに作ったことを示す経緯も調べます。

商品名については、自社の商標登録と相手の表示を照らし合わせます。写真については、元画像と相手の掲載画像を比較します。外注した写真なら、契約書から、自社が著作権を取得しているか、どの範囲で利用できるかを確かめます。

ここで、掲載写真から分かることと、実物を見て判断することを分けます。同じ写真が掲載されていても、届く商品の形状まで同じとは限りません。写真の無断利用の問題と、商品の形態の問題を分けて調べると、対応の根拠を絞り込めます。

相手の記録を残し、自社の経緯をたどる

販売ページは更新・削除されることがあり、商品の販売状況も変わります。気づいた時点の記録を残してから、自社の権利や制作の経緯をたどりましょう。

  1. 相手の販売ページを保存する。商品画像、説明文、価格、販売者情報が分かるように、ページ全体をURL・閲覧日時とともに保存します。比較用に印を付ける場合も、元の画像やデータは別に保管します。
  2. 似ている対象を分ける。名前、形、文章・写真、仕組みなど、上の表に沿って共通する部分を書き出します。
  3. 自社の記録を集める。権利の登録書類、制作・公開・販売の記録、外注先との契約書などを探します。見つからない記録については、その旨をメモします。
  4. 不明点と求める対応を書き出す。調べたい点と、販売停止や画像削除などの希望を挙げます。権利の内容や相手の行為をもとに、実際に求められる対応を判断します。

日付や出来事の伝え方、優先すべき期限については、知財相談で最初に伝える事項と期限の考え方も参考になります。

まとめ

名前、形、文章・写真、仕組みを分けて見比べると、「似ている」という印象を具体的に説明しやすくなります。相手の記録と自社の経緯を照らし合わせ、対応の根拠となる権利を探ります。

似ている点をうまく説明できない場合も、そのままご相談ください。初回30分で相談できる内容をご案内しています。

模倣の疑いに関するよくある質問

特許や商標の登録がない場合、どのような権利が関係しますか?

著作権、不正競争防止法による保護、契約上の義務などが関係する場合があります。著作権は、著作物の創作によって生じます。不正競争防止法では、商品形態、周知・著名な表示、営業秘密などについて、それぞれの要件を満たすかが問題になります。何をマネされたのか、自社がいつから使い、どのように公開・管理してきたかをたどります。

参考:文化庁「よくあるご質問」、経済産業省「不正競争防止法の概要」

相手へ連絡する前に、何を調べておくべきですか?

似ている部分、自社の権利や契約上の根拠、相手の利用方法を調べます。販売停止、画像削除など、求める対応によって伝える内容も変わります。相手に侵害を指摘する際は、根拠となる権利と事実を具体的に示せるようにしておきましょう。

相手の販売ページが消えそうなとき、何を残しておけばよいですか?

販売ページの保存は、手順1をご覧ください。商品を入手している場合は、現物のほか、包装、注文履歴、領収書も保管してください。

参考:特許庁「自社製品の模倣品・海賊版を見つけたとき」

商品の一部分だけが似ている場合、何を調べますか?

その部分を保護する権利と、保護される範囲を調べます。製品の特徴的な部分、画面、文章や画像なども対象になり得ます。共通する部分に加えて、商品全体との関係や相手の使い方も判断材料になります。

参考資料

  1. e-Gov法令検索「著作権法(昭和45年法律第48号)」(2026年8月2日閲覧)
  2. e-Gov法令検索「意匠法(昭和34年法律第125号)」(2026年8月2日閲覧)
  3. e-Gov法令検索「商標法(昭和34年法律第127号)」(2026年8月2日閲覧)
  4. e-Gov法令検索「不正競争防止法(平成5年法律第47号)」第2条・第19条(2026年10月5日確認)
  5. 文化庁「令和6年度 著作権セミナー AIと著作権Ⅱ」32頁「著作権侵害の要件:類似性と依拠性」(2026年10月5日閲覧)
  6. 経済産業省「不正競争防止法の概要」52頁「適用除外」(2026年10月5日確認)

執筆・文責

弁理士 中村幸雄

特許・商標を中心に、著作権、意匠、営業秘密など、事業上の知財課題を見極める弁理士。 「知財の余白」では、権利の種類がまだ分からない段階から、関係する権利や事業上のリスクを見極めるための情報を発信しています。